2008年08月10日

1000の言葉よりも @東京写真美術館

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1000の言葉よりも -報道写真家ジブ・コーレン東京写真美術館
¥1,800

イスラエル人として自分の国を撮り続けてきたジブ・コーレンのドキュメンタリー。アメリカ人が、あるいは日本人が紛争地域に行って写真を撮るのとはわけが違う。もちろん、私は報道写真家ではないのでこんなことを言うと怒られるかもしれないが、他国の写真家であれば、目を背けたくなれば自分の国に戻ればいい。逃げ場所がある。しかし、自分の国を撮り続けるならばそれはできない。

自宅から数kmの場所で銃弾が人を貫き、通い慣れたカフェで自爆テロが起きる。事件を報道する新聞やテレビのテロップに、視聴者はあぁまたかと思い、見慣れたテロップからは他人事の危機感しか得ることができない。もし、その光景を直接見たら失神するような出来事が自分の身の回りで起きているのに。

本当は特別な感情がわき起こってくるはずが、慣れによって何も感じなくなってしまうのが人間だ。彼は、写真を撮ることで、人の慣れを突き破り、おかしいことはおかしいと、悲劇は悲劇だと、そして幸福な風景を撮ってこれこそが幸せなんだと主張している。

これを私たちの国に当てはめてみれば、報道写真家が撮るべき対象はたくさんある。毎日のように人が電車に飛び込むことは普通のことなのだろうか。子供が親を刺すことはありふれたことなのだろうか。銃弾こそ飛びかわないが、日本にだって戦場はある。

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